【解説】フリーランスと契約③~契約締結までの流れ~|東京・壷屋法律事務所

query_builder 2021/09/16
法律コラム
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前回前々回のコラムに引き続き、「契約」について取り上げていきます。


前回のコラムでは、「契約書の記載内容」と「契約チェックの際の視点」について取り上げましたので、今回は「契約締結までの流れ」についてご紹介します。


契約締結までの流れ

1.取引のはじまり


契約締結のきっかけは、何らかの目的がある人や企業(発注側)が、それを実現してくれる能力のある企業やフリーランサー(受注側)に打診するところから始まることが多いと思います。
また、この段階で「秘密保持契約」(NDA)の締結を求められることもあります。


なお、ビジネスの内容によっては、法規制やリスクがある場合があるので、取引内容に疑問点や不安がある場合は弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。


こうして始まった取引の萌芽は、一般的な流れでいうと次のように進んでいきます。【※1】


①発注側からの仕様や要望の提示
②受注側から見積りの提示
③契約書案の提示
④内容の確認・修正と相手方との交渉
⑤契約書の締結


上記の流れについて、順に確認していきます。


2.仕様や要望の提示(①)と見積りの提示(②)


発注側は、どんなことをしてほしいか(具体的には、業務内容・成果物についての要望・納期など)という仕様や要望を伝えます。予算感を伝えることもあります。


それを受けて受注側が見積書(納期・報酬・支払希望日などを記載)を作成して提示します。


場合によっては、受注側が何を提供できるのかを確認しつつ、具体的な発注内容を話し合いで詰めていくこともあります。


3.契約書案の提示(③)


発注側が見積りを受けてこの人・企業に依頼したい(あるいはその商品を購入したい)と改めて考えた場合、細かい契約条件を決めるというステップに移ります。【※2】


このステップでは、どちらかから契約書案が提示されることが多いです。

契約書案は、ひな型を保有している方、規模の大きい方、ビジネスを持ち掛けた方などが提示します。どちらかから必ず提示するという決まりはありません。規模の大きい方から提示されることが多い印象です。【※3】


また、海外取引ではどちらの書式を使うのかという自体争いになることがあります。
日本では、この点を激しく交渉することは多くはありませんが、自らに有利な書式をベースにしたいという場合には、自ら保有する契約書案を提示し、交渉してみるのがよいでしょう。


なお、仕様や提示の段階(①)や見積書の提示(②)の段階で、契約書案を合わせて提示することもあります。


4.契約書案の確認・修正と交渉(④)


契約書案の確認は、前回のコラムでもご紹介したように、次の点から確認することになります。


取引の進め方(ビジネスの中身)に関する条項は、そのビジネスや取引の内容を反映しているか実現したい内容・目的に適っているか(特に権利の帰属など)。


問題発生時の取扱い・契約違反に関する条項は、取引中に想定されるトラブルのリスクをどちらが負担するか解決方法や処理をどうするか


交渉に当たっては、こちらの希望を伝えることになりますが、具体的な修正案については、専門性も高い内容になりますので、内容にご不安がある場合には、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。


交渉では、こちらの要望と先方の見解を聞いたうえで、妥協点を話し合うことになります。


なお実務的な話になりますが、相手が企業の場合は、担当者の背後に決裁者(決定権者)がいることを意識して、修正に際して分かりやすい説明を用意しておきます。


5.契約書の締結(⑤)


こうして契約書の内容が固まった場合には次のような作業を行うことになります。


・契約当事者の数と同数の契約書を印刷する。
契約締結日を記入し、署名(または記名)押印する。【※4、※5】
・印紙税法上、収入印紙の貼付が必要な契約の場合は、印紙を貼ったうえで消印する。
・郵送などにより相互に原本1通ずつ保管する。【※6】



以上、契約締結までの一般的な流れをご紹介しました。


契約内容の具体的な修正には専門的な知識が必要な場合がございますので、弁護士などへのご相談をお勧めいたします。

幣事務所では、相手方の契約書ひな型を修正する場合に、どのようなコメントを付ければ修正案に合意してくれるかなどの実務的なアドバイスも行うように心がけております。


次回は、今回のような流れが当てはまらない、「契約書面で交わすことができない場合」の対応方法についてご紹介いたします。


⇒コラム「【フリーランス】契約を書面で交わさない場合の対応方法【契約】」はこちら


(公開日)
2021年9月16日


※1:ただし、口約束で契約を済ませる場合には、上記の流れはそのままは妥当しません。例えば、目的物と引渡し日・引渡し場所や支払いに関することが簡単に確認されるにとどまる場合があります。


※2:Webサービスにおいては、企業間の取引であっても、サービス提供側が用意した定型約款を利用して契約が交わされることがあります。


※3:契約書の形式は、①契約書のみ、②契約書本文+契約約款、③注文書・請書+契約約款、といったものがあります。


※4:なお、署名は、「署名」でも「記名」(印字しておく方法)でもどちらでも問題ありません。もっとも、署名の方が偽造することが難しいため、契約の成立を証明しやすいという利点があります。


※5:押印については、印鑑登録のある実印を使用する場合と、そうでない場合(認印・三文判)がありますが、どちらの場合でも契約は成立します。ただし、訴訟になった場合の立証の難易度に若干の差が生じます。契約書に実印で押印されていれば、その印影が本人の実印によることが印鑑登録証明書によって容易に証明することができ、契約書が本人の意思により作成されたことを立証しやすくなります(民事訴訟法228条1項、4項)。


※6:コロナ禍以降はテレワークの推進もあり、電子契約サービスを利用して契約することも増えてきたように思います。この場合は、電子署名を用いて契約を締結しており、書面による場合と同様に証拠力(契約書が本人の意思で作成されたこと)が認められます(電子署名法3条)。


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