【解説】フリーランスと契約➁~契約の内容とチェックの視点~
【目次】
第1.契約書には何が書いてあるのか(記載内容)
第2.契約をみるときの視点
第1.契約書には何が書いてあるのか(記載内容)
前回のコラムでも記載したとおり、契約は、あるビジネス・取引を行い、利益を得るために締結するものです。
ですので、契約書にはその取引の内容とそれに付随し関連する事項が記載されることになります。
記載される内容には、大きく分類して主に次の2種類があります。
①取引の進め方(ビジネスの中身)についての条項
まず第一に、取引の進め方、すなわち取引の中身についての条項が記載されます。
例えば、イラストや動画の制作など「業務委託契約」と呼ばれる契約においては、業務内容、成果物の引渡し・検収、契約金額、支払い方法・時期、著作権の帰属など、取引の中心となる事項が記載されます。
これらの事項は、クリエイターなどの受注者側からは何を業務としてすべきなのか、注文者側からみれば、何をしてもらえるのかを記載したものになるため、取引を進めるに当たって重要な内容です。
具体的には、以下の事項などを取り決めることになります。
・イラスト制作や動画制作などの業務を行うこと
・成果物の検収は引き渡し後何日以内にするのか
・成果物の修正対応は何回まで無償で対応するのか
・著作権はどちらに帰属させるのか
②問題発生時の取扱い・契約違反に関する条項
第二に、問題発生時の取扱いに関する条項が記載されます。
取引を進めていくと、問題なく終了することばかりではありません。現在のコロナ禍のように予期せぬ問題が生じ、思うように進まない事態が生じることがあります。
そのような場合にどのように対応するかを契約書で定めておくことがあります。
例えば、次のような事項についてトラブルが発生した場合にどのようにするのかを記載します。
・途中で両者の過失(落ち度)なく中断せざるを得ない場合の対応
・提出した成果物に問題があった場合の取扱い
・契約条項に違反した場合の損害賠償や解除
トラブル発生時は、当事者間で利害が対立するものですので、あらかじめその場合の対処方法や損失の負担などを取り決めておくことが望ましいです。【※1】
第2.契約をみるときの視点
以上が契約書に主に記載される内容ですが、ご自身で契約書を確認される際には、上記2種類の記載内容ごとに、以下を意識するとよいです。
①取引の進め方(ビジネスの中身)についての条項については、
・そのビジネスや取引の内容を反映しているか
・実現したい内容・目的に適っているか(特に権利の帰属など)。
②問題発生時の取扱い・契約違反に関する条項については、
・取引の最中にどんなトラブルが想定されるか
・そのトラブルについてどちらがリスクを負担するのか
・トラブルが起きた場合の処理をどのようにするか
そして、契約を読む際は「想像力」を働かせることが重要です。
取引の始まりから終わりまで、どのような流れになるのか、どんなトラブルがありうるのかを想像し、それが契約に書いてあるのか、読んで理解できるようになっているのかを確認します。
よくわからない内容の場合、相手方に質問してみるのもよいでしょう。
法的な知識が必要な場合もありますので、相談できる弁護士などの専門家がいる場合には聞いてみるのもよいと思います。
以上、「契約書の記載内容の概要」と「読む際の視点」についてご紹介しました。
次回は、契約締結までの流れについてご紹介していきます。
⇒コラム「【解説】フリーランスと契約③~契約締結までの流れ~」はこちら
(公開日)
2021年9月1日
※1:これらのトラブル発生時の対応について契約で定めていない場合は、民法の規定に従って解決を図ることになりますが、その解釈や事実の評価に争いが生じる場合があります。
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