令和5年フリーランス新法について①
今回は、2023年(令和5年)5月12日に公布された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律25号)、いわゆるフリーランス新法の内容を2回に分けてまとめてみたいと思います。
本記事はその第1回目になります。
※2024年5月24日に本文に追記しました。
第1.フリーランス新法の概要
個人や一人会社で業務を受託するフリーランスは、組織である発注事業者との間において交渉力や情報収集力の格差があり、それに伴い取引上の弱い立場に置かれることがあるため、業種を問わずフリーランスへの業務委託全般に共通して適用される最低限の規律としてフリーランス新法が制定されました。
フリーランス新法では、フリーランスに業務委託する発注事業者に対して下請法と同等の規制を課し、またフリーランスに労働者類似の保護を与え、これらの違反に対して行政の指導が可能とされています。
実際の施行時期は、遅くとも2024年11月頃(公布の日(2023年5月12日)から起算して1年6月を超えない範囲)までとなっています(法附則1項)。
※2024年5月24日追記:
2024年4月12日公示のパブリックコメントの別紙1では、フリーランス新法の施行日は、2024(令和6)年11月1日予定とされています。
第2.対象となる取引・当事者
次に、フリーランス新法の対象となる取引と当事者を見ていきます。
対象となる取引は、事業者間におけるBtoBの委託取引になります。
フリーランス新法2条3項は、対象となる「業務委託」について、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造(加工を含む)、情報成果物の作成又は役務の提供を委託することと定義しています。
情報成果物の作成とは、プログラム、映像・音声作品、Web記事やイラスト等の作成をいい、
役務の提供とは、広くサービス全般の提供をいいます。役者の出演なども対象です。
ポイントとしては、業種の限定はないという点です。
次に、フリーランス新法の適用対象となる当事者について見ていきます。
BtoBの委託取引の当事者のうち、フリーランス新法が適用されるのは、
受注者は従業員【※】を使用していない個人事業者又は一人会社(=特定受託事業者)であり、
発注者はこれらの個人事業者・一人会社に対して業務委託を行う、従業員を使用している事業者(=特定業務委託事業者)になります。
ただし、書面交付義務については、発注事業者が従業員を使用していなくても適用されます。
フリーランス新法では、上記の受注者が従業員を使用していない個人事業者・一人会社のことを「特定受託事業者」と定義しています(法2条1項)。
また、発注者については、特定受託事業者に業務委託をする事業者(=「業務委託事業者」(法2条5項))であって、従業員を使用するもの(法人の場合は2名以上の役員がある場合も該当する)を「特定業務委託事業者」と定義しています(法2条6項)。
まとめると以下のようになります。
※:「従業員」には、短時間・短期間等の一時的に雇用される者は含まないとされています(具体的には、週労働20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる者。詳細はガイドライン等で追って示されるとのこと(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律Q&A(以下「Q&A」)_問2)。
その理由としては、従業員の使用の有無は、組織としての実態の有無を判断する基準となるものであり、組織としての実態を備えているというためには、ある程度の継続的な雇用関係が前提となることからと説明されています(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)説明資料(以下「説明資料」) 5頁目)。
第3.フリーランス新法の項目一覧
フリーランス新法の内容は、1で述べたように、フリーランスとの取引の適正化のために発注者に対して下請法と同等の規制を課すものと、フリーランスに労働者類似の保護を与えるものに分類されます。
具体的には、以下の表の通りです。
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