YouTuberが有する権利➁~肖像、プライバシー、名誉~

query_builder 2021/08/03
法律コラム
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前回の法律コラムでは、著作権・著作者人格権について説明しました。


本コラムでは、自ら出演して動画を投稿しているユーチューバーやインフルエンサーの方々に関連する事項として、肖像、プライバシー、名誉に関する権利を説明します。


これらの権利は、自分の権利として認識しておくだけでなく、動画撮影・編集・投稿の際に、他者の権利侵害していないかという視点からも意識が必要です。



【目次】

第1.肖像に関する権利

 1.肖像権

 2.パブリシティ権

第2.プライバシーに関する権利

第3.名誉権

 1.名誉権について

 2.「誹謗中傷」と刑事上の責任



第1.肖像に関する権利

1.肖像権


「肖像権」とは、他人から勝手に顔や姿を撮影されず、また写真や映像を勝手に公開されない権利をいいます。


この権利は、法律で定められている権利ではなく、最高裁判所の判例で保護されることが認められています。

「肖像権」を侵害した者に対しては、差止めや損害賠償を請求することが可能です。


どのような場合に肖像権侵害として法的責任を負うのかについて、最高裁判例は、法廷内での写真撮影の事案においてに関し、複数の要素を総合考慮して、写真撮影およびその公表により、本人の「人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超える」ものかを検討して判断しています(最判H17.11.10民集59巻9号2428頁、法廷内撮影事件)。

ユーチューバーのような顔や姿を公開することで活動する方々について、例えば投稿動画や宣材写真の顔や姿を無断で使われたとしても、それが「社会生活上受忍の限度を超える」とは言いにくいと考えられます。ユーチューバーのような有名人の方々は、プライベートな場面に限り肖像権を主張することができると考えられます。
もっとも、後述の「パブリシティ権」を主張することができる場合はあります。

動画投稿に関しては、例えば知り合いや仲間の顔出しでの出演については、同意のもとで行っているのが通常ですから撮影・公開に特に問題はありませんが、ロケ撮影において通行人などが写り込んでしまう場合にはモザイク処理を検討するなど肖像の取扱いに注意が必要です。


2.パブリシティ権


プライベートな場面での「肖像権」とは別に、ユーチューバーやインフルエンサーには「パブリシティ権」が認められる場合があります。


パブリシティ権」とは、顔、姿や名前の顧客吸引力(知名度や人気により人を惹きつける力)を利用して経済的・商業的な利益を得ることを独占する権利をいいます。
プライベートな側面を保護する肖像権と異なり、有名人の顔や姿、氏名を利用した経済的な側面を保護する権利です。
最高裁判所の判例は、一定の場合にパブリシティ権が保護されることを認めています。


例えば、ユーチューバーが自分の写真を無断で商品の広告に使用された場合は、パブリシティ権侵害として使用の差止めや損害賠償請求をすることができます。


第2.プライバシーに関する権利

自己に関する情報を他人にみだりに知られない権利として「プライバシー権」があり、裁判例において法的な保護が認められています。 プライバシー侵害を理由として削除請求や発信者情報開示請求ができます。


「自己に関する情報」には、本当のことだけでなく、本当と受け取られるおそれのある事項であれば、虚偽も含まれます(東京地判S39.9.28下民15巻9号2317頁、「宴のあと」事件)。また、「前科」などのセンシティブな情報だけでなく(最判H6.2.8民集48巻2号149頁、ノンフィクション「逆転」事件)、個人の識別等のための情報である氏名・住所・電話番号も含まれると解されます(最判H15.9.12民集57巻8号973頁)。


プライバシー情報を投稿された場合には削除を求めることができる一方で、ユーチューバーやクリエイターが他人のプライバシーに関わる情報の発信を行う場合は、権利侵害に特に注意を払う必要があります。

第3.名誉権

1.名誉権について


さらに、自らの名誉(社会的評価)を守る権利として「名誉権」があります。


名誉権侵害(名誉毀損)は、対象者の社会的評価を低下させる事実や意見を公開・投稿した場合に成立し、名誉権侵害(名誉毀損)は民法上の不法行為に該当するとして損害賠償請求や削除請求が認められています。

SNS上でしばしば問題となる誹謗中傷は、名誉毀損に当たる場合があります。


そのほか、侮辱的な発言に対しては、名誉感情(プライド)を害されたとして、損害賠償を請求できる場合もあります。


→⇒法律コラム:「SNS上の誹謗中傷と法的責任」はこちら

2.「誹謗中傷」と刑事上の責任


なお、民事上の責任とは別に、刑法では「名誉毀損罪」(230条)、「侮辱罪」(231条)が定められており、SNSの発信者が刑事責任を負う場合もあります。


また、生命・身体への危害を加える旨を伝える内容である場合は「脅迫罪」(222条)、危害を加えることを伝えて業務を妨害した場合は「威力業務妨害罪」(234条)が成立する場合もあります。



以上、肖像、プライバシー、名誉に関する権利についてご紹介しました。
SNSを用いて発信をする場合、被害を受けることもあれば、加害者となってしまう場合もあり、気を付けて行う必要があります。
本コラムの内容をご参考にしていただければ幸いです。


(公開日)

 2021年8月3日

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