【解説】YouTube利用規約の重要ポイント|弁護士壷屋広紀
YouTube利用規約をみると、内容が重複していたり、リンクがいくつも続いていたりと複雑で、その内容全てを把握するのは大変骨の折れる作業です。
そこで、本記事では、YouTube利用規約について、どんな内容が記載されているのかを、ポイントを絞ってまとめてみたいと思います。
簡単なまとめになっていますので、より詳細・正確な内容は利用規約の原文をご参照ください。
近時は、YouTube側も、概要や要約、ヘルプ記事を載せるなどして、わかりやすい内容となるように力を入れているようです。
なお、本記事は公開日(2021年4月26日)時点のYouTube利用規約(2021年3月17日版)に基づいています。
(2024年6月12日追記)
本記事掲載後に更新された2021年6月1日版、2022年1月5日版、2023年6月1日版のYouTube利用規約の内容を追記しました。
【目次】
第1.YouTube利用規約の全体像
第2.ユーザーが「できること」/「してはいけないこと」(利用ライセンス)
1.ユーザーが「できる」こと
2.ユーザーが「してはいけないこと」(禁止事項)
第3.動画投稿者がYouTube側に許可している事項
1.動画投稿者からYouTubeへの利用許諾(ライセンス)の内容
2.動画投稿者から他のユーザーへのライセンスの付与
第4.コンテンツの削除とアカウントの停止・解除
1.ユーザーによる削除等
2.YouTubeによる削除等
(以下、2024年6月12日追記)
第5.2021年6月1日版の利用規約について
第6.2022年1月5日版の利用規約 について
第7.2023年6月1日版の利用規約について
第1.YouTube利用規約の全体像
YouTubeを利用するすべてのユーザーには、YouTube利用規約だけでなく、以下のガイドラインやポリシーが適用されます。
【YouTube利用の全般に関わる規約】
・広告主やスポンサーになる場合やコンテンツに有料プロモーションを組み込む場合には、さらに「広告主向けの広告ポリシー」が適用される。
これらのガイドラインは利用規約と一体となって一つの契約内容を構成しています【※1】。以後、本記事で「利用規約」と言うときは、これらのガイドラインを含んだものを指します。
この利用規約は、アカウント登録をするだけでなく、動画の視聴をするだけでも適用されることになります。
また、利用規約は随時更新されるという点にも注意が必要です。
(参照:YouTube利用規約(上記URL)のうち「適用される規約」の欄)
第2.ユーザーが「できること」/「してはいけないこと」(利用ライセンス)
ユーザーは利用規約に同意することでYouTubeを利用することができますが、利用規約は、ユーザーがYouTubeを利用する際に「できること」と「してはいけないこと(禁止事項)」を定めています。
1.ユーザーが「できる」こと
・ユーザーは、個人的かつ非営利の目的でYouTubeを利用することができます(ユーザーへのサービス利用許諾)。
・ユーザーが可能な利用方法は、動画の視聴やコメント、チャンネル登録、コンテンツ(動画や画像、写真など)をアップロードすることです。
・ユーザーは、アップロードしたコンテンツを何時でも削除可能です【※2】。
2.ユーザーが「してはいけないこと」(禁止事項)
・ユーザーは、利用規約(ガイドラインなども含む)と適用法令を守る必要があります。
・さらに、YouTubeの利用にあたっての10項の禁止事項が定められています。禁止事項のうち、特に次の事項は注意が必要です。
7項 | 不正な報告や申立て、申請をすること。 例えば、虚偽の著作権侵害の報告をすることは禁止されています。 |
9項 | 不特定または多数の人を集めてYouTubeの動画を上映したり、音楽のストリーミング再生をすること。 例えば、YouTube上映会と称し、料金を取って、テレビやスクリーンなどに映して不特定または多数の人に向けてYouTube動画を見せることは利用規約上できません。 |
10項 | 広告する場合には、YouTubeの広告表示で許可されている方法に従う必要があります。 |
・アップロードするコンテンツは、第三者の著作権について利用許諾を得ている又は法律上利用可能な場合である(著作権法上の「引用」など)こと、また、コミュニティガイドラインを守っていることが必要です。
特に、コミュニティガイドラインでは、①ヌード・性的コンテンツや、④暴力的で生々しいコンテンツなどの細かいルールが定められています。
(参照:YouTube利用規約(上記URL)の「本サービスの利用」のうち「許可と制限事項」の欄、「お客様のコンテンツと行動」のうち「コンテンツのアップロード」「コンテンツの削除」の欄)
第3.動画投稿者がYouTube側に許可している事項
ユーザーはYouTubeの利用ライセンスを得られる反面、特に動画コンテンツをアップロードする場合に、以下のように、投稿コンテンツについてYouTube側に対して利用許諾をしています(ユーザーによる利用ライセンスの付与)。
1.動画投稿者からYouTubeへの利用許諾(ライセンス)の内容
・YouTubeは、YouTubeとその関連事業に関して、投稿者のコンテンツ(動画や写真など)を無償で世界的に「使用」(複製、配信、派生物の作成、展示、上演を含む)することができます。(世界的・非独占的・譲渡可能のライセンス)
…そのため、利用規約上、YouTubeは、ユーザーから個別の許可を取らずにYouTube主催のイベントなどでユーザーのアップした動画を編集し、上映することが可能です。
・さらにYouTubeは、第三者に再許諾することもできます(サブライセンス権限の付与)。
(参照::YouTube利用規約(上記URL)の「お客様のコンテンツと行動」のうち「YouTubeへのライセンス付与」の欄)
・2021年6月1日の利用規約からは、YouTubeは、収益化していないチャンネルに対してもYouTube側で広告を表示できるようになりました。
(参照:「収益化に関する権利」)
2.動画投稿者から他のユーザーへのライセンスの付与
・また、視聴者などの他のユーザーは、YouTubeの機能を通じてコンテンツを使用することができます(世界的・非独占的・無償のライセンス)。
…そのため、視聴者は、YouTubeの機能を通じて動画を視聴し、SNSなどへ拡散することが可能です。また、メンバーシップにおけるメンバー限定の絵文字もメンバーシップ登録者はコメント欄で利用することできます。
・ただし、YouTubeへの利用許諾とは異なり、視聴者など他のユーザーは再許諾(サブライセンス)をすることはできませんので、自分で楽しむ限りで上記の使用ができます。
(参照::YouTube利用規約(上記URL)の「お客様のコンテンツと行動」のうち「他のユーザーへのライセンス付与」の欄)
第4.コンテンツの削除とアカウントの停止・解除
1.ユーザーによる削除等
コンテンツの削除やアカウントの解除については、ユーザーからは「いつでも」可能です。ただし、YouTubeの定める手順を踏む必要があります。
(参照::YouTube利用規約(上記URL)の「お客様のコンテンツと行動」のうち「コンテンツの削除」の欄、「アカウントの停止と解除」のうち「お客様による解除」の欄)
2.YouTubeによる削除等
YouTubeはコンテンツ削除やアカウント停止をする権限を有しています。ただし、YouTubeが削除・停止を行うには「正当な理由」が必要とされており、手続きも定められています。
※2022年1月5日版からは「正当な理由」の文言が削除されていますが、YouTubeによる削除・停止に一定の理由が必要なことは変わりありません。
(1)YouTubeによるコンテンツ削除が行われる場合、次のような手順を踏みます。
①YouTubeが規約違反や他のユーザー・第三者に侵害を及ぼすと判断した場合、理由を通知してコンテンツを削除できる。
②ユーザーからは再審査請求ができる(詳細は、トラブルシューティング参照)
(2)YouTubeによるアカウントの停止・解除が行われる場合、次のような手順を踏みます。
①YouTubeは、深刻な契約違反や違反の繰り返し、他のユーザーや第三者に不利益・損害を与える行為が行われていると判断する場合は、ユーザーに原則として通知を行う(ユーザーにはコンテンツを保存する猶予期間が与えられる)。
(2022年1月5日版から、契約違反の場合などにおける猶予期間の記載は削除されました)
②その後、解除・停止が実施される。
③誤ったアカウント停止に対しては、ユーザーは再審査請求ができる。
なお、コミュニティガイドライン違反における「違反警告」の仕組みについては、後記第6の③をご参照ください。
(参照::YouTube利用規約(上記URL)の「お客様のコンテンツと行動」のうち「YouTubeによるコンテンツの削除」の欄、「アカウントの停止と解除」のうち「正当な理由に基づくYouTubeによる解除および停止」「解除や停止に関する通知」の欄)
第 5.2021年6月1日版の利用規約について
2021年6月1日版では、次の3点が更新されています(2023年6月1日版でも同内容)。
①「許可と制限事項」の4項において、収集・取得が禁止されている「個人を特定できる可能性のある情報」の例として、顔の映像・画像が追加。
②「収益化に関する権利」において、収益化していないチャンネルに対してもYouTube側が広告を表示できるようになる旨が追加。
③「収益化に関する権利」において、YouTubeからクリエイターが受け取る収益が米国税法の観点からロイヤリティとして扱われるよう変更され、法律上義務付けられている場合に、Googleが収益の支払から源泉徴収を行う旨が追加。
③の変更については、YouTube パートナー プログラムに参加しているクリエイターが米国視聴者から収益を得た場合、Google は、米国内国歳入法第 3 章に基づき、税務情報を収集し、源泉徴収を行い、内国歳入庁(IRS とも呼ばれる米国の税務当局)に報告する義務があることから行われたものです。もっとも、日本のクリエイターは、日米間の租税条約により税務情報をGoogleに提出すれば源泉徴収が免除されます。
(参照:YouTubeヘルプセンター「更新された利用規約に関するよくある質問」、YouTubeヘルプセンター「YouTubeでの収益に関する米国の税務要件」)
第 5.2021年6月1日版の利用規約について
2021年6月1日版では、次の3点が更新されています(2023年6月1日版でも同内容)。
①「許可と制限事項」の4項において、収集・取得が禁止されている「個人を特定できる可能性のある情報」の例として、顔の映像・画像が追加。
②「収益化に関する権利」において、収益化していないチャンネルに対してもYouTube側が広告を表示できるようになる旨が追加。
③「収益化に関する権利」において、YouTubeからクリエイターが受け取る収益が米国税法の観点からロイヤリティとして扱われるよう変更され、法律上義務付けられている場合に、Googleが収益の支払から源泉徴収を行う旨が追加。
③の変更については、YouTube パートナー プログラムに参加しているクリエイターが米国視聴者から収益を得た場合、Google は、米国内国歳入法第 3 章に基づき、税務情報を収集し、源泉徴収を行い、内国歳入庁(IRS とも呼ばれる米国の税務当局)に報告する義務があることから行われたものです。もっとも、日本のクリエイターは、日米間の租税条約により税務情報をGoogleに提出すれば源泉徴収が免除されます。
(参照:YouTubeヘルプセンター「更新された利用規約に関するよくある質問」、YouTubeヘルプセンター「YouTubeでの収益に関する米国の税務要件」)
第6.2022年1月5日版の利用規約について
2022年1月5日版での変更点は多岐に及びますが、その中でも重要な部分は以下になります(2023年6月1日版でも同内容)。
①「許可と制限事項」の7項の「軽率な」が「嫌がらせ的な」に変更
これは、根拠のない権利侵害の報告でチャンネル停止を狙うといった、嫌がらせ目的の報告を禁止することを明確にするための変更と思われます。
②「本サービスの変更」が「本サービスの開発、改善、更新」に変更
内容としては、以下が記載されています。
・YouTubeは、機能の追加や廃止、新しいデジタル・コンテンツやサービスの提供、古いデジタル・コンテンツやサービスの廃止等、サービスの修正・変更を行うことがある。
・YouTubeに関するソフトウェアが自動更新されることがある。
・YouTubeが本サービスの利用に悪影響を及ぼす重大な変更を行う場合は、原則としてユーザーに対して合理的な事前通知を行う。その場合、コンテンツをエクスポートする機会を提供する。
③コミュニティガイドライン違反警告に関する記載の追記
内容としては、以下が記載されています。
・YouTubeコミュニティガイドライン違反の場合に「違反警告」を発するシステムを運用していること
・ユーザーに対して違反警告ごとにさまざまな制約が通知されること
・違反警告の詳細は「コミュニティ ガイドラインの違反警告に関する基礎知識」に掲載されていること
・ユーザーは違反警告に対して異議申立てができること
・違反警告を理由にチャンネルが制限された場合に迂回目的で別チャンネルを開設することは禁止されており、それに反するとGoogleからGoogleアカウントやYouTubeへのアクセスを停止される場合があること
なお、「コミュニティ ガイドラインの違反警告に関する基礎知識」によると、違反警告は次のような仕組みになっています。
・まず、違反警告が発行されるとメールで通知が届きます。
・初回の違反では、通常、事前警告のみが発行され、「ポリシーに関するトレーニング」を受講することで、事前警告は90日後に失効します。ただし、悪質な不正行為の場合は事前警告なしにチャンネル停止になることがあります。
・再度のポリシー違反の場合は、1回目の事前警告が発行され、1週間、動画投稿やライブ配信などが行えなくなります。1週間後に機能制限はすべて自動解除されますが、違反警告は90日間チャンネルに残ります。
・1回目の違反警告から90日以内に2回目の違反警告を受けると、2週間、コンテンツを投稿できなくなります。その後問題がなければ2週間後にすべての機能が自動的に回復します。2回目の警告違反も発行後90日間有効となります。
・さらに90日以内に3回目の違反警告を受けると、チャンネルが永久的に削除されます。
・YouTube側に誤りがあると思う場合は、再審査請求を行うことが可能です。
④「アカウントの停止と解除」における「正当な理由に基づくYouTubeによる解除および停止」が「YouTubeによる解除と停止」とタイトル変更
もっとも、アカウントの停止・解除を行う場合の要件が変わったわけではありませんので、上記第4の2に変更はありません。
⑤「アカウントの停止と解除」における「本サービスの変更に基づくYouTubeによる解除」が「解除、停止に関する通知」に変更
YouTubeから解除・停止を行う場合に、理由とともに通知があることは上記第4の2から変更はありません。
上記第4の2からの変更点としては、以下になります。
・YouTube側が採算の合わない事業と判断した場合に、アカウントや本サービスへのアクセスを解除できるとの記載の削除。
・コンテンツをエクスポートするための猶予期間の記載が削除されています。もっとも、「本サービスの開発、改善、更新」では、YouTubeがユーザーによるサービスの利用に悪影響を及ぼす重大な変更を行う場合にはユーザーがコンテンツをエクスポートする機会が提供されるとされています。
⑥「本契約について」の「本契約の変更」の記載が変更
変更後の内容は以下のとおりです。
・YouTube利用規約などを含む本契約の変更を行う場合の例示として、(1)本サービスの変更・業務運営上の変更を反映するため、(2)法律、規制、セキュリティ上の理由のため、(3)不正または危険な行為を防ぐため、が明記されています。
・重大な変更を加える場合には、合理的な事前通知を行うとしています。ただし、①新製品・新機能のリリースや②緊急時は除かれています。
・ユーザーが変更後の本契約に同意しないときは、コンテンツを削除し、YouTubeの利用を停止するものとされています。【※3】
第6.2022年1月5日版の利用規約について
2022年1月5日版での変更点は多岐に及びますが、その中でも重要な部分は以下になります(2023年6月1日版でも同内容)。
①「許可と制限事項」の7項の「軽率な」が「嫌がらせ的な」に変更これは、根拠のない権利侵害の報告でチャンネル停止を狙うといった、嫌がらせ目的の報告を禁止することを明確にするための変更と思われます。
②「本サービスの変更」が「本サービスの開発、改善、更新」に変更
内容としては、以下が記載されています。
・YouTubeは、機能の追加や廃止、新しいデジタル・コンテンツやサービスの提供、古いデジタル・コンテンツやサービスの廃止等、サービスの修正・変更を行うことがある。
・YouTubeに関するソフトウェアが自動更新されることがある。
・YouTubeが本サービスの利用に悪影響を及ぼす重大な変更を行う場合は、原則としてユーザーに対して合理的な事前通知を行う。その場合、コンテンツをエクスポートする機会を提供する。
③コミュニティガイドライン違反警告に関する記載の追記
内容としては、以下が記載されています。
・YouTubeコミュニティガイドライン違反の場合に「違反警告」を発するシステムを運用していること
・ユーザーに対して違反警告ごとにさまざまな制約が通知されること
・違反警告の詳細は「コミュニティ ガイドラインの違反警告に関する基礎知識」に掲載されていること
・ユーザーは違反警告に対して異議申立てができること
・違反警告を理由にチャンネルが制限された場合に迂回目的で別チャンネルを開設することは禁止されており、それに反するとGoogleからGoogleアカウントやYouTubeへのアクセスを停止される場合があること
なお、「コミュニティ ガイドラインの違反警告に関する基礎知識」によると、違反警告は次のような仕組みになっています。
・まず、違反警告が発行されるとメールで通知が届きます。
・初回の違反では、通常、事前警告のみが発行され、「ポリシーに関するトレーニング」を受講することで、事前警告は90日後に失効します。ただし、悪質な不正行為の場合は事前警告なしにチャンネル停止になることがあります。
・再度のポリシー違反の場合は、1回目の事前警告が発行され、1週間、動画投稿やライブ配信などが行えなくなります。1週間後に機能制限はすべて自動解除されますが、違反警告は90日間チャンネルに残ります。
・1回目の違反警告から90日以内に2回目の違反警告を受けると、2週間、コンテンツを投稿できなくなります。その後問題がなければ2週間後にすべての機能が自動的に回復します。2回目の警告違反も発行後90日間有効となります。
・さらに90日以内に3回目の違反警告を受けると、チャンネルが永久的に削除されます。
・YouTube側に誤りがあると思う場合は、再審査請求を行うことが可能です。
④「アカウントの停止と解除」における「正当な理由に基づくYouTubeによる解除および停止」が「YouTubeによる解除と停止」とタイトル変更
もっとも、アカウントの停止・解除を行う場合の要件が変わったわけではありませんので、上記第4の2に変更はありません。
⑤「アカウントの停止と解除」における「本サービスの変更に基づくYouTubeによる解除」が「解除、停止に関する通知」に変更
YouTubeから解除・停止を行う場合に、理由とともに通知があることは上記第4の2から変更はありません。
上記第4の2からの変更点としては、以下になります。
・YouTube側が採算の合わない事業と判断した場合に、アカウントや本サービスへのアクセスを解除できるとの記載の削除。
・コンテンツをエクスポートするための猶予期間の記載が削除されています。もっとも、「本サービスの開発、改善、更新」では、YouTubeがユーザーによるサービスの利用に悪影響を及ぼす重大な変更を行う場合にはユーザーがコンテンツをエクスポートする機会が提供されるとされています。
⑥「本契約について」の「本契約の変更」の記載が変更
変更後の内容は以下のとおりです。
・YouTube利用規約などを含む本契約の変更を行う場合の例示として、(1)本サービスの変更・業務運営上の変更を反映するため、(2)法律、規制、セキュリティ上の理由のため、(3)不正または危険な行為を防ぐため、が明記されています。
・重大な変更を加える場合には、合理的な事前通知を行うとしています。ただし、①新製品・新機能のリリースや②緊急時は除かれています。
・ユーザーが変更後の本契約に同意しないときは、コンテンツを削除し、YouTubeの利用を停止するものとされています。【※3】
第7.2023年6月1日版の利用規約について
「その他の法的条項」の「責任の制限」に、「故意もしくは重大な過失に基づく責任の場合を除いて」が追加されています。
この追加について、消費者契約法8条1項1号・3号では、消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項は無効とされています。
2022年1月5日版までのYouTube利用規約の「責任の制限」ではYouTube側は「一切の責任を負わない」とされており、これはYouTube側が負う責任の全部を免除する条項と思われます。
そのため、2023年6月1日版では、「責任の制限」規定が消費者契約法により無効とされないように、YouTube側に故意または重過失がある場合に責任を負い、軽過失の場合は全部免責 になるように追記をしたものと考えられます【※4】。
以上、簡単ではありますが、YouTube利用規約の重要ポイントをまとめました。
より詳細な内容・説明は、該当のリンク先を辿って確認する必要があります。 また、本記事のほかに、YouTuber(ユーチューバー)と法律に関するコラムも掲載しておりますので、そちらもご参考にしていただければ幸いです。
本記事がYouTube利用規約の理解の一助になれば幸いです。
(公開日)
2021年4月27日
2021年10月25日
2024年6月12日 最終更新
(画像利用)
いらすとや https://www.irasutoya.com/
※1:なお、YouTubeパートナープログラムに申し込み、YouTubeで広告収益を得る場合には、本文の利用規約に加え、以下の規約が適用されます。
・YouTubeのチャンネル収益化ポリシー: https://support.google.com/youtube/answer/1311392
・AdSense プログラム ポリシー: https://support.google.com/adsense/answer/48182?ctx=checklist
・広告掲載に適したコンテンツのガイドライン: https://support.google.com/youtube/answer/616227
※2:ユーザーが作成したコンテンツに関する権利(著作権など)はユーザーが保持し、YouTubeへ移転することはありません。コンテンツについての責任は作成したユーザーが負います。
(参考:YouTube利用規約(上記URL)のうち「本サービスの利用」のうち「本サービスのコンテンツ」、「お客様が付与する権利」)
※3:なお、この「本契約の変更」の規定については、民法548条の4(定型約款の変更)の適用が問題になります。
動画投稿のためにはYouTubeチャンネルを作成する必要があり、チャンネル名、ハンドル、プロフィール写真を入力して「チャンネルを作成」をクリックすることになります。その画面では「[チャンネルを作成] をクリックすると、YouTube の利用規約に同意したものとみなされます。」との記載があります。
このようにYouTube利用規約のリンクを掲載したうえ、クリックすればこれに同意したとみなすとの文言が表示されているため、動画投稿者に関しては、YouTube利用規約は「定型約款」(民法548条の2第1項)に当たる余地があると考えられます。
そして、定型約款に該当する場合、次の要件を満たすときは、ユーザーの個別の同意がなくても規約の内容の変更が認められます。
・実体的要件:変更が契約の目的に反せず、かつ変更の必要性、変更後の内容の相当性、定型約款の変更に関して定める契約条項(変更条項)の有無及びその内容その他変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき(民法548条の4第1項第2号)
・手続的要件:規約を変更する旨、変更後の規約の内容、変更の効力発生時期を、インターネットの利用その他の適切な方法により周知すること(同条第2項)
個別の変更内容にもよりますが、例示されている3つの場面のうち、(2)(3)は、実体的要件のうち、変更の必要性が比較的容易に認められると考えられ、変更内容が相当(変更後の内容が必要性に照らして過剰でないこと)である場合には、その変更が認められると思われます。
他方、(1)の場面については内容次第となります。
ただし、いずれの場合でもYouTubeは事前通知といった手続的要件を履践することが必要とされるため、実際にはメールでの周知が行われるものと考えられます。
※4:軽過失の場合に事業者の損害賠償責任を全て免除する条項が、消費者契約法8条1項3号に該当するとして無効になるかという問題もあります。この点、東京高判平成29年1月18日判例時報2356号121頁では、消費者契約の際に、故意・重過失時のみ責任を負い、事業者軽過失時は免責とする規約条項が、消費者契約法違反で無効と判断されています。もっとも、上記高裁判決の解釈で学説が争いなく確定しているとまではいえません(参考:青木浩子「電子マネー不正使用金返還請求事件」NBL25-26頁)。
YouTube利用規約も、多くの利用規約で見られるのと同様に事業者軽過失の場合は全部免責としているものと思われます。
第7.2023年6月1日版の利用規約について
「その他の法的条項」の「責任の制限」に、「故意もしくは重大な過失に基づく責任の場合を除いて」が追加されています。
この追加について、消費者契約法8条1項1号・3号では、消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項は無効とされています。
2022年1月5日版までのYouTube利用規約の「責任の制限」ではYouTube側は「一切の責任を負わない」とされており、これはYouTube側が負う責任の全部を免除する条項と思われます。
そのため、2023年6月1日版では、「責任の制限」規定が消費者契約法により無効とされないように、YouTube側に故意または重過失がある場合に責任を負い、軽過失の場合は全部免責 になるように追記をしたものと考えられます【※4】。
以上、簡単ではありますが、YouTube利用規約の重要ポイントをまとめました。
より詳細な内容・説明は、該当のリンク先を辿って確認する必要があります。 また、本記事のほかに、YouTuber(ユーチューバー)と法律に関するコラムも掲載しておりますので、そちらもご参考にしていただければ幸いです。
本記事がYouTube利用規約の理解の一助になれば幸いです。
(公開日)
2021年4月27日
2021年10月25日
2024年6月12日 最終更新
(画像利用)
いらすとや https://www.irasutoya.com/
※1:なお、YouTubeパートナープログラムに申し込み、YouTubeで広告収益を得る場合には、本文の利用規約に加え、以下の規約が適用されます。
・YouTubeのチャンネル収益化ポリシー: https://support.google.com/youtube/answer/1311392
・AdSense プログラム ポリシー: https://support.google.com/adsense/answer/48182?ctx=checklist
・広告掲載に適したコンテンツのガイドライン: https://support.google.com/youtube/answer/616227
※2:ユーザーが作成したコンテンツに関する権利(著作権など)はユーザーが保持し、YouTubeへ移転することはありません。コンテンツについての責任は作成したユーザーが負います。
(参考:YouTube利用規約(上記URL)のうち「本サービスの利用」のうち「本サービスのコンテンツ」、「お客様が付与する権利」)
※3:なお、この「本契約の変更」の規定については、民法548条の4(定型約款の変更)の適用が問題になります。
動画投稿のためにはYouTubeチャンネルを作成する必要があり、チャンネル名、ハンドル、プロフィール写真を入力して「チャンネルを作成」をクリックすることになります。その画面では「[チャンネルを作成] をクリックすると、YouTube の利用規約に同意したものとみなされます。」との記載があります。
このようにYouTube利用規約のリンクを掲載したうえ、クリックすればこれに同意したとみなすとの文言が表示されているため、動画投稿者に関しては、YouTube利用規約は「定型約款」(民法548条の2第1項)に当たる余地があると考えられます。
そして、定型約款に該当する場合、次の要件を満たすときは、ユーザーの個別の同意がなくても規約の内容の変更が認められます。
・実体的要件:変更が契約の目的に反せず、かつ変更の必要性、変更後の内容の相当性、定型約款の変更に関して定める契約条項(変更条項)の有無及びその内容その他変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき(民法548条の4第1項第2号)
・手続的要件:規約を変更する旨、変更後の規約の内容、変更の効力発生時期を、インターネットの利用その他の適切な方法により周知すること(同条第2項)
個別の変更内容にもよりますが、例示されている3つの場面のうち、(2)(3)は、実体的要件のうち、変更の必要性が比較的容易に認められると考えられ、変更内容が相当(変更後の内容が必要性に照らして過剰でないこと)である場合には、その変更が認められると思われます。
他方、(1)の場面については内容次第となります。
ただし、いずれの場合でもYouTubeは事前通知といった手続的要件を履践することが必要とされるため、実際にはメールでの周知が行われるものと考えられます。
※4:軽過失の場合に事業者の損害賠償責任を全て免除する条項が、消費者契約法8条1項3号に該当するとして無効になるかという問題もあります。この点、東京高判平成29年1月18日判例時報2356号121頁では、消費者契約の際に、故意・重過失時のみ責任を負い、事業者軽過失時は免責とする規約条項が、消費者契約法違反で無効と判断されています。もっとも、上記高裁判決の解釈で学説が争いなく確定しているとまではいえません(参考:青木浩子「電子マネー不正使用金返還請求事件」NBL25-26頁)。
YouTube利用規約も、多くの利用規約で見られるのと同様に事業者軽過失の場合は全部免責としているものと思われます。
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